夢。

 それは非常に空虚なもの。

 時に楽しく、また時に恐ろしいもの。

 望みもしないのにやってきては、心を揺さぶり消えてゆく。

 その中に、意味を見出そうとする者もまた絶えず。

 だが、それは非常に空虚なこと・・・・・・







 さて、今日は夢の話でもしようか。






 私は夢を見た。

 暗い、暗い、でも、安らぎを与えてくれる闇の夢。

 暗闇に対する恐怖はなく、むしろ、光の射すときを恐れている。

 何も見えない、何も聞こえない闇の中で、動くこともなく、ただそこに在るだけの存在。

 それが私。







 だが、そんな闇を汚すものがやってきた。

 光。

 痛烈な閃光というわけではない、言うなれば火のついたばかりの蝋燭の灯り。

 ある一点で、ゆらゆらと揺らめく光。

 そんな弱々しい光。

 それでも、私の闇を濁らせていくのもまた、そんな弱々しい光。




 やめろ、私の安らぎ、私の闇を汚すんじゃない!




 叫びながら、私は光に背を向ける。

 恐怖。

 光に浸食されていく恐怖。

 濁った闇に、目が慣れていく恐怖。

 知りたくもない真実。

 私は逃げる。







 再び闇。

 深い安堵感。

 同時に、光への恐怖は憎悪に変わる。

 そこに光がないから。

 そこには闇しかないから。

 私の闇を汚すもの・・・・・・光。

 私の憎悪は深く、深く。







 闇は私を包む。

 憎悪に飲み込まれていく私を優しく抱きしめるように。

 闇に身体を預け、私はまた、そこに在るだけの存在へと戻る。

 闇に抱かれ、私の感情が消えていく。

 眠り。

 抵抗しない、その必要もない。

 私は眠る。

 再び目覚める時、そこが闇であることを願いながら・・・・・・











 今日はここまで。

 夢はいつでも空虚なもの。

 語るに軽く、聞くにも軽い。

 だが、まだ全ては語れない。

 夢が続けば真実に出会えるかもしれない。

 そのためにも、次の夢へと還ることにしよう。

 さぁ、深い深い闇の中へ・・・・・・