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オオサカ武勇伝・ぷらすA ―コフン 旧ヤマト新王国拠点 「はぁ……」 「今日だけで20回目ですよ、ため息」 「わかってます。けど、ここで待っているとやっぱり置いていかれたんだなって、再認識しちゃって……」 「そうよね、戻ってくるって言ったけど……」 以前リセットや無敵がねぐらにしていた地域管理組合の拠点、現在は悪司組の管轄ということになっている。エデン攻略の後、ヤマトの長であるリセット達が行方をくらました為部下だった山沢麻美や鬼門始はとりあえず、しばらくは戻ってくる可能性を考慮してヤマトの拠点を維持することにした。だが、すぐに維持しきれなくなり彼らごと悪司組に吸収された。だがなんとか交渉の末、配属地域はコフンにすることが出来、看板は代われどこの建物にいるメンバーは以前と変わらない。それにくわえて那古教の3幹部の一人、土岐遥もここに入り浸る者の一人だ。 現在時刻は昼の3時。川向こうのPMとどんぱちやり始めた悪司組だがこのあたりはのんびりとしたものである。 「もうすぐ鬼門君も見回りから帰ってくるでしょうからお茶にします?」 「山沢さん、私もお手伝いします」 鬼門が今日の見回り当番。山沢は留守番。 ちょうど暇になってきたころ仕事を終わらせた土岐が顔を出した。 そして二人はここがヤマトだった頃にハニーがかき集めた物資から3時のおやつの用意をする。 「ただいまっス。あら、土岐さんも来てたんっすか」 「お邪魔してます。すぐにおやつを用意しますからちょっと待ってくださいね」 「ういっス」 見回りから戻ってきた鬼門は待ってましたとばかりに机を片付け準備する。 「鬼門君、カップをお願い」 「3つっすね」 「馬鹿。それじゃあ、リセットたちの分が無いわ。後三つ追加」 「じゃあ、6人ぶ……ん!?」 突如入り口側からかかった声に鬼門は目を白黒させた。 何度も目をこすりリセットを見る。着ている服は以前と大差ないが背中の物が非常に気になる。 「何を狐につままれたような顔をしてるの。早く用意して」 「りょ、了解っす」 「ただいま戻りました。皆さん元気でしたか?」 「山本さん!!!」 炊事場から土岐が飛び出してきてそのまま無敵に向かってダイブ。 「え、ちょ、落ち着い……っ!?」 何とか受け止めたものの無敵はセリスにほほを抓られた。 「説明してくれる?」 「もちろん。とりあえず、土岐さん。少し離れてください」 「あ、はい。ごめんなさい」 「土岐さん、なんの騒……ぎ……」 台所から顔を出した山沢も無敵に飛びつきあまり広くない部屋の中は大混乱となった。 6人分のおかしとお茶がそろい午後のティータイム。 リセットと無敵が父の窮地を救い何とかなったこと、その後リセットが天使になったこととか無敵がセリスとくっついて父親の突発イベントに巻き込まれ引き離されそうになったこと、ワーグの追撃を振り切るためこっちへ逃げてきたことなどがリセット側から出れば、鬼門や山沢からは今はヤマトも悪司組に吸収されてしまったことや相変わらず市議会やエデンは無敵の支配下にあることなどお互いの状況報告で時が流れた。 「つまり、この人に手を出すのは禁止ですからね。もちろん、出されるのも!」 ワーグのことでライバル出現には過敏になるセリス。 「まあまあ、セリスさん。少し落ち着きましょう」 なんとか丸く治めようとする無敵。 「でも、私は山本さんのモノ(使徒)になったのに……!」 「なっ!?」 少し説明が足りていない土岐。 「私だって……あんなこと(薬を抜くための吸血)されて(その恩返しもまだなの)……!」 「む、無敵さん!」 同じく山沢。 「ひっくるめてみんな手篭めにしちゃえばいいのよ、パ~パみたいにさ。無敵って甲斐性ないね」 修羅場を少し離れたところから煽るリセット。 「そこも含めて無敵のいいところなんだけど。そうそ、無敵に媚びるなら使徒だろうがなんだろうが消すわよ?」 いつの間にかワーグ。 「……」 一同沈黙。騒がしかった事務所が水を打ったように静かになった。 沈黙を破ったのはワーグの後ろに控えていた人物だった。 「ワーグ様。今日は遊びに来たのではないのですよ?」 「ふん、五月蝿いわね。……まあ、いいわ」 「レ、レナさんも?」 「はい。無敵様の逃走劇に巻き込まれた形で。今日は川向こうのPMから改めての宣戦布告に参りました。無敵様がすぐに大陸にお戻りにならないのならば、1週間で悪司組を滅ぼし居場所を奪わせていただきます」 「……ワーグの命令で?」 「はい。あと、私がこちらの世界に居ればいるほど魔王城での事務処理が滞りランスの望む世界の完成が遅れます。……それは看過できるところではありませんので」 「卑怯ですそんな言い方」 「こうでも言わないと帰っていただけないと思ったゆえです」 「……」 返答に窮する無敵。セリスやヤマトのメンバーは緊迫した空気に口を出せずにいる。 「さて、どうされますか?」 「帰りません。ヤマトの後始末やら使徒にしてしまった土岐さんの事、放置しっぱなしになってしまった市議会の人たちの精神支配なんかもとかないといけません。やり残した事が多いのでほとぼりが冷めるまで帰るつもりはありません」 「まあ、そういうと思ったわ。レナ、帰ってチビ大将とハイネに報告するわよ」 「いいのですか、ここで引き下がって? 切り札もまだ切っていませんが?」 「いいのいいの。じゃあ、無敵また今度ね」 「と言うわけで戻ります。今日は留守にしているようで会えなかったのですが山本悪司にもそのことを伝え置いてください」 ワーグは振り返りもせずに、レナは優雅に一礼して嵐のように現れた二人は唐突に去っていった。 「まずいな……ワーグだけならともかくレナさんまで」 「そんなに強いんすか?」 そうは見えない。鬼門の疑問に山沢も頷く。 「個人戦なら全魔人中最低レベルだとは思うけど……集団戦闘では彼女ともう一人、敵に回してはいけない人がいる……」 レナはアールコートに師事しその才を磨くことを忘れない。いかに多忙であろうともバトルノートの本分は貫いていた。 「そ~ね。なんたってさっき話した反魔王争乱の時、数万の人と魔物の混成軍の総指揮官をやったくらいだから。あの子の状況把握能力と指揮能力はかなりの物だと思うわ」 「それがPMについてしまったんですか……さっきあの人が言っていた1週間って言うのは、本気なのですね」 「おそらく本気であり、やり遂げる自信があるのでしょう。ワーグも居ることですし」 無敵は大きなため息を一つ。 「ごめんなさい、また危険なことになるかもしれません。……二度目の過ちはしません。セリスさんも、山沢さんも、土岐さんもどんな状況になっても僕が守ります」 「……無敵。リセットは?」 「も、もちろん姉上もです!!」 ぷく~っと膨れる姉を必死になだめる無敵。セリスや山沢、土岐は無敵の力強い宣言にときめいていた。 「……やっぱりパ~パの血を引いてるのね、無敵は」 「はい?」 「鈍過ぎだけど。……もう少し周りを見なさい」 「周り??」 「……ま、いいわ。今週中になんとかなさいね」 「はぁ……?」 無敵はリセットが何を言いたいのかまったく分かっていない様子で首を傾げる。 無敵は青春時代をすっ飛ばして成長してしまったり、まともな恋愛経験が無いため(恋愛関係になったと思ったら引き離されて20年以上経っていたり、ワーグに強引に襲われたり)鈍い。そのわりにランス同様の女性を惹きつける不思議な魅力を受け継いでいる。 非常に性質が悪かった。 今はセリスしか見えていないのである。周囲を見る余裕が無いとも言う。 「とりあえず、悪司の所に顔を出しましょう」 「あれ? レナって人が会えなかったって言ってませんでした?」 「あ、そういえばそうね。無敵、探してきて」 「事務所で待った方が早いかと」 「そう? じゃ、行こっか。始、留守番よろしく」 「ういっす」 「セリスは顔見せに、他の二人も一緒の方がいいでしょ?」 「「はい!」」 「じゃあ、僕は留守番――ふぇ!?」 リセットは無敵のほほを抓り引き伸ばす。セリスの場合と違い容赦が無い。 力いっぱいぐにぐにする。 「無敵が来なくてどうするの?」 「ひひゃいですよ!」 「ほら、行くわよ」 抵抗する無敵を無視し、リセットはそのまま歩き始めた。 姉相手に力ずくになるわけにもいかず、無敵はそのまま。他の3人も止めるに止められずそのままついていくことに。 一人残った鬼門は誰もいなくなった後に小さく呟いた。 「羨ましい……」 ―ミドリガオカ 悪司組事務所 「ホントに誰もいませんね」 「死んだ?」 「いえ、昨日会っています」 「なら出かけてるだけね。ったく、早く帰ってきなさいよ馬鹿悪司。リセットを待たせるなんていい度胸だわ」 誰もいないのをいいことにリセットは言いたい放題。 「……姉上ならいてもいまいが言いたい放題でしょうけど」 「なに?」 「いえ、何も」 「む、リセットに隠し事? おね~ちゃんは悲しいぞ~」 リセットはちょっと空中に浮き、無敵の頭を抱き寄せる。 「わぷ!? あ、姉上!!」 ふよん。 それなりにあるリセットの胸に無敵の顔が埋まる。 「「「あああーーー!!」」」 「むぎゅ~っと。気持ちいい?」 周りの反応を見て悪乗りするリセットはさらに暴走し始めた。 暴れる無敵を自分の胸に押さえつける。 「それとも前みたいに服が無いほうがいい?」 「「「姉弟で何をしてるんですか!!??」」」 「あ、アレは姉上が魔王の強制力を用いて無理やり――」 「リセットの前はパ~パのだからうし――」 「姉上ーーー!! 未来永劫秘密だって言っていたのにーー!!」 「う、後ろ……」 「山本さんになら……ど、どこでも」 「私もです!」 「姉上! いい加減に放してくださいよ!」 これ以上話が過去に及ぶことを恐れて無敵は無理やりリセットを引き剥がす。 「ちぇ~っ。じゃあ、続きは夜ね?」 「しません!!」 悪司組の事務所前はどんどん混沌としていった。 「……お前ら人ん家の前でなに猥談大会やってるんだ?」 しかし、さすがに見かねたのかリセット達に声がかかる。 「あれ? 山本悪司? いつからそこに?」 誰も気づいていなかったらしい。 「お前が弟の過去を暴露し始めたあたりからだ」 悪司の隣には岳画殺もいた。 「あ、お久しぶりです。足の怪我の具合はどうですか?」 「大丈夫だ。幸い骨は無事だったからな。今日のように学校など普通に生活する分には問題ない」 「……学校、ですか?」 「ああ。これでも学生だからな」 「……」 殺の持ち物→学生かばん(鉄板入り)、その端に見え隠れするサブマシンガン。肩には体操服入れと一緒に小型のロケットランチャー。上着の下には拳銃。かばんの中には手榴弾。 さすがの無敵も閉口した。 「まあ、仕方ないだろう。最近PMからの刺客が多い」 「最近戦況が硬直しているからな。喜久子もアシヤに帰らせてるくらいだ。向うも躍起になってやがる」 「それで悪司が迎えに行ってたわけね。まあ、そんなことどうでもいいんだけど。とりあえず、立ち話もあれだし人数分のお茶くらいだしたら?」 「……あいかわらずでかい態度だな」 「ごめんなさい、アレが姉上ですので」 ―事務所内 「……つまり、PMが打って出てくるだろうってことか」 「はい。ワーグだけならまだしもレナさんは本気のようですし……何らかの手を打ってくるでしょう」 「その原因がお前ってわけか」 「面目ない。……まさか追ってくるなんて考えもしなかったので」 「いいじゃねぇか。それだけ思われているんだからよ」 「……僕にはセリスさんがいます。他の女性とお付き合いは出来ません」 「固いな。男はいい女を囲って何ぼだろう。お前についてきてる他の二人もそういう目でお前をみてるじゃねぇか」 一通りの打ち合わせが終った後、いつの間にか悪司の恋愛相談の時間になりつつあった。 「……え、あ、やっぱり……そうなのですか?」 無敵の反応に悪司はため息。 そして、無敵にびしっと指を突きつけ一言。 「お前、鈍すぎ」 「ぐ……」 「ちょっと! さっきから聞いていれば言いたい放題! 私の立場はどうなるんですか?」 小さくなる無敵を見かねてセリスが乗り出す。 「本妻は本妻、他は妾でいいだろう。喜久子も認めて受け入れてくれているさ。それくらい心が広くてもいいと思うがな」 「彼方基準で考えないで下さい!!」 「で、結局のところ、お前さんはこれ以外の女の好意を受け止めるだけの自信があるのか無いのか、どっちなんだ?」 「そ、それは……その……」 悪司の指摘で小さくなっていた無敵は問い詰められ、女からは詰め寄られさらに小さくなった。 そんな無敵にリセットの忍耐力が尽きた。 「悪司、ベッドルーム借りるよ。朝まで」 そういうなり、悪司の返答も待たず無敵を引きずり奥へ。 「セリス、麻美、遥。あんたらも来なさい」 ノーと言える雰囲気ではなく、3人も奥へ。 数分後リセットだけ戻ってきた。 「……何してきたんだ?」 「ん? 4人を閉じ込めて扉を封印してきたの」 「えげつないことをするな。お前、姉だろう」 「姉だからよ。無敵にはパ~パみたいにいい男になってもらわないと。そのためにはまず女性経験を増やさないと。さて、悪司。お腹減った」 「……出前でいいな?」 「もちろん」 悪司はしぶしぶ電話のところへ行き、リビングに残るのはリセットと殺の二人だけになった。 「と、こ、ろ、で。あんたはどうなのさ?」 「な、何が言いたい?」 珍しく殺が目に見えて動揺していた。 「エデンの時は悪司にも無敵にも同じような目を向けていたでしょう? さっきだって極力無敵の方を見ないようにしていたし、なんか怪しいなって思っただけ」 リセットのカンは当るんだよ~、とニヤニヤ。 「私は……アレはつり橋効果だと思っている」 「ふ~ん? まぁ、そういうことにしとくわ。悪司~! お寿司は特上ね!!」 「一々注文付けるな!」 「なによ、文句あるの!?」 リセットもリビングから出て行き殺が一人残される。 「私は……本当は……どうなのだ?」 殺の呟きは誰に聞かれることもなく消えた。 ―コフン 元ヤマトの事務所 「……今夜はカップ麺かよ」 誰も帰ってくる気配の無いヤマトの事務所。 鬼門は一人寂しくカップ麺をすすった。 以前ならハニーなりビノノン王なり誰かいたのだが今は一人。 「ちくしょう、俺も彼女つくってやる。ずるずる」 一人だと広く感じる事務所に寂しげな音が響いた。 |
あとがき オリジナルを書く用の集中力が切れたので今日はこっちにしました。 いつものノリで書けているはず。 |