―隔離病棟304号室(第二段階)

い、いたい! からだがちぎれちゃう!
てが、あしが、くびが、ちぎれてとんでしまったみたい。
からだがかってにはねあがる。てんしさまがおこっているの?
わたしがわるいことをしたから?

ごめんなさい、てんしさま。
わたしはわるいこです。おみまいにきてくれたともだちをねたんでしまいました。
わたしにはいないパパとママとあのこがすごくなかよくみえたから。
ガラスごしにでもせっかくおみまいにきてくれたのに。おみまいのりんごももってきてくれたのに。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……あやまるから……これいじょういたくしないで……。

もうからだはバラバラになったのかな?
いたくていたくてもうどうなってるのかわからない。
おねがいてんしさま、いいこにしているからおこらないで。
そうじゃないと、おかしくなってしまいそう。いけないことをかんがえてしまいそう。
わたしがこわれてしまいそう。

だからおねがい。

わたしのままでいさせて。


苦痛にのた打ち回る少女を我々はただ見ていることしか出来ない。彼女はガラスの向こうで一人孤独に苦痛に耐えている。第二段階への移行は現在までの患者中最速、一体何が影響しているのか想像もつかない。
昨日は隔離患者にはめずらしく見舞いがきていた。同世代の少女とその両親。おそらくクラスメートといたところか。
1時間の面会のあと患者へと残されたりんごを、防護服を着た私が患者に届けたが防護服の無骨な手では果物ナイフですらまともに持てず剥いてやることはできなかった。
患者は自分でむいて食べると笑顔で話していたが、その時間もなく第二段階へ移行した。

次へ