第八回 降臨せしは悪魔 ―悪司組本部地下室 「……うにゅ……?」 目を開けると知らない場所にいた。薄暗く狭い部屋に5人ほどの男達。 そして、手首に手錠を掛けられ天井から吊るされているリセット。 「……あんたら、誰?」 「起きたか? お前には若から拷問に掛けて組織の内情を聞き出せといわれている」 「後にして。リセットは『てーけつあつ』なの。もうちょっと寝かせて……」 「悪いが出来ん相談だな。……お前に今から尋問をしても意味がなさそうだ。軽く痛めつけてから尋問に移るとしよう」 「ふ〜ん、で、リセットは吊るされてるんだ?」 リセットが動くと手錠とそれを吊るす鎖が軋む。服はドレスのままのため吊るされる姿はどこか扇情的だ。 「怖くないのか?」 「別に。サンドバックにでもしようって気でしょ? やったら?」 「後悔するなよ?」 黒服達は手にグローブをつけリセットの周りを取り囲む。 「あんた達こそね」 男が背後から殴りかかり、地下に悲鳴がこだました。 ―地上 「悪司よ、なぜあの者を拷問にかけるのだ?」 時間はちょうど3時のおやつ時。 たまたま時間の空いた殺と悪司は事務所でおかきをかじっていた。 そんな時、殺はふと手を止め悪司に問うた。 「……買収に応じるようなタマじゃないだろう。そのうえ、何故かあいつをコマすのはまずい気がした。放置しとくわけにもいかねーしよ……聞きだせること聞き出せればいいかと思ってな」 「調教して売り出すという手もあっただろう?」 「正直もったいないとは思ったがな……タマネギ達の命が心配だった」 「……確かに」 リセット自身が戦うシーンは見たこと無いが弟らしい山本無敵があの強さだ、姉も相当なものだろう。 「後で地下室を見に行った方がよいのではないか?」 「あいつらは拷問のプロだ。反撃されるようなへまはしねーと思うぞ?」 ―地下室 男が背後から殴りかかる。リセットは即座に体のバネのみを利用して反転、無理な運動のせいで手錠が手首に食い込むが気にしない。反転の勢いにスカートが舞い男の目くらましとなった。 「ちっ! こしゃくなまねしやが―」 思わずスカートを振り払った男の首にすらっと長い足が絡みつく。 「え、何で足―」 ごきん。 「はい、お次は誰かな?」 拷問係の男達は思わず息を飲む。何が起きたかわからないうちに仲間の1人が床に倒れ事切れている。 「来ないの? じゃあ、外しちゃおっと」 手首の間接を何の躊躇もなく外しリセットは拘束から脱する。 「ん……いたた、ちょっと戻すの失敗したかな。ま、いいや」 リセットは拘束により硬くなった身体を軽くほぐすと固まっている拷問係に1歩近づく。 男達は得体の知れない恐怖に駆られ1歩下がった。 「ふふふ、何して遊ぶ? 拷問ごっこでもいいよ?」 「じゃあ、お前を―」 勇気を振り絞って1人が叫ぼうとする。が、リセットは笑みを浮かべたままその男の口元に人差し指を添えた。 「最後まで話は聞く。リセットはね、虐めるのは好きだけどされるのは嫌いなの。だから……あんた達がされる方に決定ね」 幾度となく残虐なで冷酷な拷問を行ってきた彼等はプロだった。だがリセットとは魔王の時代を経て、こなしてきた数が違った。 「無敵といると禁止されるから正直ストレスだったの。ちょっとやりすぎるかもしれないけど……まあ、その時は諦めてね」 身体には何の拘束も施されていない。ただ、恐怖が身体を縛り付ける。 「あ、悪魔か……」 「違うよ。元魔王が正解ね」 ―シキナ 那古教本部 そこは一面血の海。いたるところに信者の骸が転がっている。 「っく……無事だといいですが……」 無敵はさらにスピードを上げて人の気配のするほうへ進む。 左へ曲がれば人の気配。だがその角には殺気の塊が。 罠だとすぐわかったがあえて特攻。どうせミストフォームを使えば回避は難しくない。 角から1歩出る。 「っ!! 疾風の剣!!」 恐ろしく速く鋭い剣閃。あと、一瞬でもミストフォームが遅ければ真っ二つだ。 「手ごたえがない!?」 相手は慌てているが無敵の方には余裕が出来た。なぜなら目の前にいるのは那古教の三大幹部の1人だったから。 「ふう、かなりのスピードですね。回避がギリギリでした」 実体を取り戻した無敵を見て聖女の1人土岐遥は目をぱちくり。 「あ、あれ? 彼方は……」 「ヤマトの者です。他の方々は無事ですか?」 「は、はい。その……多分。聖女の間に立てこもっているはずです。あ、それより陽子さんは!?」 「怪我はしていますが大丈夫でしょう。とりあえずどうしてこうなったのか教えていただけます?」 「はい。……突然でした。まるで獣みたいな……違う、悪魔のような女の子が3人、由女様をさらって行きました。……私も側にいたのに……何も出来ず……」 「この状況、さらっていっただけではないですね?」 「その……すぐ後です。その3人が本部に強襲をかけてきました。陽子さんと私が陽動して寧々さんが戦えない人たちを非難させたのですが陽子さんは助けを求めに行くといっていなくなり寧々さんとも連絡が取れなくなり……」 土岐は途中から涙声になり無敵に抱きつく。戦場での孤独が土岐の精神を苛んでいた。 あわや切り殺しそうになったが生きた人と会えたことで緊張の糸がぷつんと切れた。 抱きつかれた無敵はというと手のやり場に困りおろおろ。 悩んだ挙句背中をとんとんとさすってやることにした。だが、感触はねっとりしたもの。 「つっ! ……ご、ごめんなさい!」 「こちらこそ申し訳ありません。怪我をしているのですね。それじゃあ、あれを排除してから月ヶ瀬さんと合流しましょうか」 無敵は背後を振り返り刀を抜く。 「土岐さん……でしたね? お疲れでしょう、その辺に隠れていてください」 「そんな! 私も戦います!」 「疲労が溜まっているでしょう? 血の味でわかります」 土岐も背中に傷を負っていた。その背中に触れた無敵の手はべっとりと血に濡れている。 「背中の怪我も戦える状態でもない。無理をしてはいけません」 無敵は普段使わない邪眼を解放。土岐をおとなしく隠れさせる。 「それにしても趣味が悪い。……最早人でもないものにされているわけか……」 空中に羽の生えた少女、地上には青い髪の小柄な少女と茶髪で鋭い目つきの少女がいた。 全員、放つ気配が人のそれではない。 「……基本的に女性に手を上げるの嫌いですが、今日は加減できる気がしませんよ?」 リセットのことが気になって仕方が無い。リセットに何かあったら、それこそ無敵の存在意義がなくなる。本当はこちらに来ずリセットを探しに行きたかった。 だが、由女をさらった相手も気になる。悪司でも、PMでもないそんな気がする。それは目の前の少女達を見て確信に変わる。 「もし、生き残っていたら色々聞きたいこともありますので。先に回答を考えておいてください」 「……」 相手は無言。その後はどちらも言葉を発することなく向きあう。野性の本能とでもいうのだろうか? 相手も無敵の力量がわかるのか不用意に動こうとはしない。 「来ないならこちらから行きます」 感情を感じさせない声でつぶやく無敵は一気に距離を詰める。 初太刀は様子見。案の定三人共に反応されてかわされる。だが追いきれないスピードでもない。攻撃の挙動を当たらないと見た時点でキャンセル、方向転換そして跳躍。 回避したと高をくくっていたのかの羽の生えた少女は追撃に反応できなかった。 空中ですれ違いざまに2本の刀が走る。 回避は間に合わず片方の羽と腕を失った。だが、ただでは倒れない。 バランスを崩し落ちる先は呆然と戦闘を眺める土岐の側。羽を生やした少女は最後の力を振り絞り手にした槍を振りかぶる。 「させません!!」 無敵はとっさに刀の片方を投げた。狙いは外れず投げた刀は羽の生えた少女ののどを刺し貫く。カランと槍が床に落ちた。 「フーーーーー!!」 それを見てか猫のような唸り声を上げて小柄な少女が無敵めがけて突進をかける。 無敵はバックステップでそれをやり過ごし、投げた刀を引き抜き回収、再び突進してきた少女を迎撃した。 鋭い爪が続けざまに襲い掛かる。手数が多くなかなか反撃のチャンスが無い。 「山本さん! 後ろ!」 「もう1人か!?」 土岐の声を受けとっさに、後ろに回りこんでいた茶髪の少女に向かって一閃。だが回避される。その隙に小柄な少女がガードを掻い潜り鋭い爪で無敵のわき腹をえぐった。 「くっ! やったな!」 カウンターの一撃はやはり回避され、さらに炎の塊が無敵を焦がす。 着ていたスーツの上着が一瞬で炎に包まれ、無敵は即座にそれを脱ぎ捨てた。 「炎まで……鳥に猫に……ドラゴン? まったく……このスーツ、高かったのですよ? それを台無しにして……。1人は捕獲しようかと思っていましたが……止めます」 無敵は猫娘と龍娘に背を向け土岐の横へ。 「大変申し訳ないのですが……ちょっとご協力お願いします」 「えっ……あ……はい……」 下手な抵抗はされたくなかったので再び邪眼を使用し土岐の自由を奪い首筋に牙を立てる。 (ああ、そういえば最近コレに対する抵抗が無いな……) そんなことを考えながらも牙は離さない。 肌が破れ温かい血液があふれ出る。無敵はそれをこぼさずに嚥下する。 十分に血液を補給し無敵は牙を離す。 すでに夢見心地の土岐をその場に横たえると背後の敵のほうを振り返る。 二人の少女は無敵がスキだらけだったにもかかわらず攻められなかった。数歩先は得体の知れない空間に感じられ、本能が近づくなと警鐘を鳴らした。 無敵が振り返ってからはその警鐘がさらに鳴り響く。逃げろ、と。 だが、彼女達に与えられた命令は姿を見たもの、あるいは那古教の関係者を皆殺しにせよというもの。目の前の得体の知れない存在は那古教に間接的にでも関係あるもの。そして、自分達の姿を見ている。ならば殺さなくてはならない。 それでも身体は動かない。恐怖など改造の時に奪われたはずなのに。 「そろそろ、終わりにしましょう」 静かな宣告。呼び起こすのは恐怖。 その声が耳に入るや否や青い髪の少女は闇雲に飛び掛った。 恐怖に突き動かされての行動。ただ、そんなものがフルパワーの無敵に当たるわけも無い。 まだ空中にいる間に首をつかまれた。何が起きたかわからない。 次の瞬間彼女の心臓を刀が刺し貫いた。 「あと1人」 死体となった少女を投げ捨て、駆け出すと同時に床に突き立てたもう一本の刀を掴む。 炎が飛んでくるが刀の一振りでそれをかき消し、一瞬で距離をゼロにする。 「終わりです」 すれ違いざまの斬撃は少女の身体を真っ二つにした。 斬られた少女は改造された生命力ゆえか上半身と下半身、離れようとする身体を必死に繋ぎとめていた。それでもつなぎ目からは血が、内臓があふれもうどうしようもない。 少女はすぐ後ろにいる無敵に助けを求めるような目で見る。 それは戦闘時に見せた鋭い目ではない。おそらく、改造される前のもち前の目であったのだろう。 無敵はそれを冷めた、それでいて哀れむような目で見ている。 そして、少しの思案の後無敵は少女の胸を刺し止めを刺した。 「……どこの誰だか知りませんが、本当に趣味が悪い。……今は掴み損ねましたが、次に尻尾を見せた時は……罪を贖ってもらいましょう」 なんとも後味が悪い。さらに嫌な予感までがわいて出てくる。 由女もリセットもこの改造を施したヤツに捕獲されたのではないか? もしそれが事実で、リセットが改造されて敵として自分の前に出てきたら? 無敵は頭を振りその疑念を振り払った。 「今は土岐さんや月ヶ瀬さんが心配です」 無理やり自分に言い聞かせる。 無敵はまだぐったりしている土岐を抱きかかえ聖女の間に向かった。 が、 「……聖女の間ってどこなんでしょう?」 無敵は3分で迷った。 ―??? 数多くのモニターが稼動する部屋。部屋の明かりはモニターの光のみ。そのモニターのいくつかには通信途絶の文字が浮かぶ。 「くくく……非常に興味深い。かなり完成に近いはずのBシリーズが手も足も出ないとは……しかも……ふふふ、実在するとは驚くばかりだ。アレが手に入れば我が野望だけでなく、永遠の命も夢ではないかも知れないな」 部屋にいるのは長髪の女性が1人。明かりが無い上モニターの光が眼鏡に反射して表情はまったく見えない。 女性はモニターの側にあるボタンを押すとマイクを手にした。 「私だ。スキをみてBシリーズの残骸を回収しろ。最悪頭部のみでかまわない」 『了解しました』 「組織が腐らないうちにな」 そういって一方的に会話を切る。 「さて、強化の準備をしなければ。少なくても2倍、いや、3倍の出力は必要か。素体はクローニングで使うとして―」 女性はなにやらつぶやきながらその部屋を後にした。 ―悪司組事務所 地下室 「あ〜あ、やっぱり人間ってもろ過ぎ」 部屋の中は噎せ返るような異臭が立ち込めていた。血の匂いと人の体の油の匂い。 「さて、飽きたから帰るね」 リセットは拷問係だったモノに声をかける。当然反応は無い。 リセットは返り血に染まったドレスのまま捕らわれていた部屋から出る。 そのまま地上への階段を登ろうとしてふと足を止める。 「……このまま帰るより迎えを待った方が感動的かな〜?」 考え込む。 「うん、そうしようっと。無敵が迎えに来た時は〜お姫様だっこで連れ出してもらっちゃって〜」 身もだえしながら出てきた部屋へ。1歩踏み込んですぐにまた出てきた。 「匂いが身体に染み付いちゃう。……お隣を借りよう」 決断即実行。 ―隣室 「や、やめてけろ! やめてけろぉぉ!! ひっ……ひやぁ!」 隣室では別の捕虜に対する拷問が行われていた。 哀れな少女は何故か竹やりとロープで四肢を固定され股間を巨大なバイブレーターで犯されていた。 「ひ、ひ、ひぃぃ!!??」 「なんだ、まだ耐えるのか? それじゃあ、これでどうだ?」 拷問手がバイブを激しく動かす。少女の体が不規則に波打った。 「うわ、ここも凄い匂い」 拷問手も犯されている少女も一瞬思考が止まる。 部屋に入ってきたのは血まみれのドレスを着た美少女だった。 「そこのあんた。どっか綺麗な部屋は空いてない?」 「い、いや、ここには多分無い」 「じゃあ、どこにある? 別に座敷牢とかでもかまわないんだけど」 「座敷牢ならわかめ組の本部に確か……」 「ふ〜ん、ありがと。じゃあね」 リセットは何事も無かったかのように出て行こうとする。 「た、たすけてけれ! おねげーだ!」 後ろからかかる声にリセットの足が止まる。 「助けて欲しいの? ああいってるけどいい?」 「いや、それは……」 リセットは足元に転がっている竹やりをつま先で転がす。 「……串刺し刑、前やった時はうまくいかなかったのよね」 リセットの呟きは部屋の空気を一瞬で変質させた。 「最初はうまく刺さったんだけど、やっぱり抵抗されちゃってね。うまく先が口から出ないの。こんな尖った物を見せられちゃって……久しぶりにやりたくなっちゃった」 身の毛もよだつ雰囲気に部屋が支配され誰も動けない。 品定めするようなリセットの視線にさらされると誰もが恐怖に座り込む。 「3人か。誰にしようかな〜」 部屋の中には拷問手が3人。リセットの視線からその3人が誰か気づく。 「決めた。とりあえず抵抗されるとうまくいかないから―」 リセットは足元に転がっていた竹やりを蹴り上げ掴む。 「死にかけてくれるとうれしいな」 「……あ、あれ?」 気が付けば拷問手の1人に竹やりが刺さっていた。軽く捻ってから引き抜く。 「横からの串刺しは簡単なんだけど。面白みが無いからな〜。やっぱりこう、足の間からのどを通って口から穂先が出るのが理想形だと思うわけよ。でもね―」 しゃべってる間にも残りの二人にそれぞれ竹やりをつきたてる。 それらは何が起きたかも考える時間すら与えられず床の上をのた打ち回った。 「男は絵にならないから嫌いなの。やるなら若い女の子。処女だとなおさら。狭いあそこを槍で抉ってそのままやわらかい子宮をゆっくりと刺し貫いて、哀願と悲鳴と怨嗟を聞きながら、複雑な内蔵を潜り抜け、細いのどへ。気管を引き裂かれ苦痛のうめき声も上げられないまま声の代わりに槍の穂先が口から姿を現す。……ふふふ、想像しただけでちょっと濡れちゃいそう」 リセットはうっとりとした表情で床に転がされている少女の周りを歩く。 少女は生きた心地がしなかった。 「はい、外れたわよ」 「……えっ?」 生きた心地がしないまま少女は腕を確かめる。至る所が痛むが普通に動く。 「お、おらは殺さないだか?」 「助けてっていったじゃん。うれしくないの? さっさとその股間のモノ、とったら?」 少女は言われて気づいたのか自分を苦しめた道具を引き抜いた。 「んっ……ふ……」 「抜いたらさっさと立つ。ここにいると匂いが染み付いちゃいそう」 「き、着るものが……」 リセットは小さくため息をつくとドレスのスカート部に手を掛けた。そのまま力をいれ引き裂く。わりと長いスカート部だったが破ったおかげでミニスカートに成り果てた。 「血だらけだけど、文句言わないでとりあえず巻いといて」 「わかっただ」 「それと、あんたの名前は?」 「野山めぐる」 「ふ〜ん。私はリセット。まあ、もうすぐいなくなるから覚えなくてもいいけど―」 『なんじゃこりゃ〜〜!?』 隣室、つまりはリセットが捕らわれていた部屋から絶叫が聞こえる。悪司の声だ。 「……うるさいわね、山本悪司」 リセットはつかつかと隣室へ。悪司は室内の惨状を見て固まっていた。数々の修羅場を越えてきた悪司だが室内はその想像を超えていた。 「うえ……気分悪ぃ……」 「その辺で吐いたらすっきりするかも」 「ああ、確かにな。……? てめぇ! リセット!!」 すぐ後ろに立っているにも関わらず悪司が気づくのは少し遅れた。まあ、無理も無いかもしれない。 「とりあえず一つ二つ頼みがあるの」 「……なんで俺が聞かなきゃならん?」 「ここ狭いから別の部屋を用意して。別に逃げないから鍵の有無はどうでもいいけど、この子も同じ部屋にいられる位の場所ね」 「人の話を聞け」 「嫌」 即答。悪司は激しい頭痛を覚えた。 「……普通は断るんだが一応聞こう。俺が否といえばどうする気だ?」 それを受けてリセットは室内に視線を送る。 「……アレを一つ増やすだけよ」 「わかった、移動させる」 悪司は即答した。 「よし。一応、捕虜扱いでいいから。VIP扱いじゃなくても」 (当たり前だ!) と思ったが口には出さず。だが、今この状態で逆らうのはまずい気がした。どうにも蛇に睨まれたかえるの気分になってしまう。 結局のところ、悪司はかなり悔しがりながらもリセットと野山めぐるの移送を命令した。 その途中にもリセットは仕掛けを忘れない。移送中、紙になにやら書くと最近町に溶け込んでいるハニーの足元に投げた。 「???」 ハニーはそれを拾い、差出人の名前を見つけると大急ぎでコフンに戻っていった。 |
かなり長い間放置していましたが、二人の世界と一部リンクしてるのでそろそろ終らせにかかります。って、4月から放置かよ!? それはそうと……18禁指定いるかな……? 必要ならシーンを削除しないと。 |