第2回 お葬式に出てみました。

―セ○マ 葬式式場
こんにちは、八津基詩乃です。
今はお葬式の式場にいます。
誰の? 当然私のです。
まだ受付の時間ではないので親戚と両親しかいません。父と母は泣きつかれたのかかなり疲れている様子です。他の親戚の方々もほとんどが泣いています。
お坊さんがお経を読んでいます。
辛気臭いです。
まあ、明るいお葬式ってのも嫌ですけど。
ふわっと移動してお棺の中を見てみます。空っぽです。あれだけバラバラになったので復元できなかったようですね。

私は特急に情け容赦無く轢かれたようです。
テレビでも大々的に取り上げられていました。
『遮断機故障に気づかず。死者1名』
『中央管理室の杜撰な管理。常駐人員は0!』
『○○会長引責辞任 犠牲者家族に謝罪』
『事故により数千人の足に影響』
『突撃! はす向かいの昼ご飯!』
最後のは違いますが事故関連ニュースはいっぱいです。自宅ではテレビもついていないので情報ソースはお隣さんのお宅のテレビでした。
親戚一同を横目に外へ出てみました。あら、予想以上に人がいます。
けれどほとんど会ったことの無い人ばかり。おそらくは町議会の議員をしている父関係の方々でしょう。同世代の顔はまばらです。クラスメートの三分の一くらいでしょうか。
寂しくは無いですよ? 友達がいないのは自覚していますし。
あ、音夢ちゃん発見。学校でほとんど一緒に行動する数少ない私のお友達です。
ぼろぼろと涙を流して泣いています。よかったです。一人でも悲しんでくれる友達がいて。
「ありがとう、音夢ちゃん」
近くに下りて呟いたとたん音夢ちゃんが目を見開きました。何に驚いたのでしょう?
あ、目が合いました。あれ? 私は見えないはずですね?
けれど、私の後ろには壁しかありません。不思議ですね?
「……トイレ」
音夢ちゃんは隣にいたお友達にそういってトイレに行ってしまいました。……とりあえずあれはついて来いということなのでしょうか? 行ってみましょう。

―トイレ
今の時間は誰もいないみたいで音夢ちゃんと二人っきりです。
「……なんでここにいるの?」
「見えるんですか?」
「……まあ、ね。嫌な才能だと思っていたけど……捨てたものでもないみたい」
「また私と話せたからですか?」
「そうよ。親友にいきなり死なれたショックが少しは和らいだわ」
それはよかったです。
「でも驚きで寿命が縮んだかも」
それは困りますね。音夢ちゃんには長生きしてもらわないと困ります。
幽霊と話せる人なんてそうそういないでしょうから。
あ、でも死んで幽霊になればずっと一緒にいられますね。
「こら。今、不穏なこと考えたでしょう?」
さすがは音夢ちゃん。鋭い。
「今日は友引じゃないんだからね」
「じゃあ、友引の日になったら―」
「バカなことは止めて」
「……しませんよ、そんなこと」
「否定までに間があったじゃない」
気のせいですよ。たぶん。
「……はあ、とりあえずお焼香だけは済ませてくるわ。その対象の元気な姿を見てしまうとアレだけど」
そういって視線をそらす音夢ちゃんの目尻には涙が光っていました。
「詩乃……また話せてよかった」
それは私もですよ?
「う〜む、仲良きことは麗しきかな」
隣におじいさんが浮いていました。驚きのあまり心臓が……止まってますね、すでに。
「こんにちはおじいさん。ここは女子トイレですよ?」
「ほほほ、今は誰もおらんからかまわんじゃろ。まあ、こんなところで話すのもなんじゃ、屋上にでも行くとしようか」
おじいさんはスッと天井に消えました。この方も幽霊みたいです。
私も天井をすり抜けて屋上に上がります。
幽霊って楽ですね。特に移動が。
おじいさんは屋上の端に腰掛けていました。柵の向こう側です。
「落ちたら危ないですよ?」
「なに、一度死んでいるからな。二度目はないよ。それに、幽霊に物理法則なんてものはないんだから。それよりお嬢ちゃん、踏切事故の犠牲者かい?」
「はい、八津基詩乃といいます」
「わしは玄。玄さんと呼んどくれ。しかし、あれだけの事故だったのに地縛霊にならんかったのかい?」
「えっと、鎖はあったのですけど、引っ張ったら切れちゃいました」
玄さんは大きく目を見開きました。死神少年も言っていましたがホントにレアイベントのようです。
「……変な言い方じゃが、君は幽霊になるべくしてなったのかもしれないの……。まあ、この世界、黄泉と現世の境界もなかなかいいところじゃよ。一応、ようこそと言わせてもらおうかの」
「玄さんは幽霊生活長いのですか?」
「わしが死んだ頃、将軍が8代目になったぞ、確か徳川吉宗だったかな」
なんと、江戸時代生まれだそうです。長いですね。
「それからずっとこの土地におるよ」
「未練があるんですか?」
「そう、何かあったはずなんじゃ。しかし、どうも記憶があいまいでな。今は成仏しなかった理由を探すのが生きがいじゃよ」
幽霊の生きがい。……大きく矛盾しているような気がしないでもないです。

あ、出棺です。空っぽの棺を乗せた霊柩車が式場を出て行きます。
なんか変な感じです。私はこんなに元気なのに、母や父や親戚が泣いています。
親不孝な私。死んだらきっと、賽の河原で石を積まなければならないでしょう。
あれ? 私死んでいますね。賽の河原の石積みは親より先に死んだ子供は親が死に、三途の川を渡るまで続けなければいけないと聞きます。
私は70年近くそっちにいけないみたいですし……。
う〜ん、よくわかりません。今度死神少年に名前と一緒に聞いてみしょう。
「さて、どうするね? ご両親についていくかい? それともわしが町を案内してやろうか?」
両親にはいつでも会えます。今は幽霊生活の人間関係を築くほうが大事でしょう。
「お願いします。もしかして、幽霊の方ってたくさんいるんですか?」
「死んで初めて目に見えて気づく世界もある。以外と多いもんじゃよ。まあ、ほとんどがその地に縛られた地縛霊だがのう」
詳しくお話を聞くと、浮遊霊というのはかなり少ないそうです。玄さんでも私以外に2人しか知らないそうです。
さらには、幽霊以外の知り合いも何人かいるそうで、機会があれば紹介してもらえる事になりました。幽霊以外ということは死神少年も含まれるのでしょうか?
ちょっと期待が持てます。

何はともあれ私は自分の葬式場から離れ、玄さんと一緒に大木楽公園に行くことになりました。大木楽公園は町の西にある大きな公園です。
「おきらく公園」と親しまれています。中には子供向けの遊具や芝の生えた広場、大きな池もありとにかく無駄に広くて大きな公園です。

どんな人に会えるのでしょう?
何気に楽しみです。

あとがき

お知らせ通り続きました。次回の予告も出てます。
最近色々ややこしくて、まともにパソコンも開いていませんが、感想など一言でも頂ければさらに書く気がわくものなのです。まさにドーピング(違う。
ぐだぐだなASOBUに喝を入れてやってください。

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